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おばんざい伝承師公募について


ごあいさつ ~おばんざい伝承師制度の創設について~

今私たちの食生活は質、量ともにかつて無いほどに豊かになり世界中の食べ物が簡単に手に入るようなりました。
しかし一方で食の生産や分配をめぐり多くの経済問題や社会問題を引き起こしています。
又私たちの日常生活にも大きな変化をもたらし、食に関わる様々な心身の問題も生まれています。物質的に豊かな食生活は必ずしも幸せな食生活では無いということでしょう。

京都ではつつましいけれど巧みに食材を使い、季節を楽しみながら健康で幸せな生活が営まれてきました。
その食生活の中心にあったのが「おばんざい」です。おばんざいは長い歴史の中で培われた京都の先人たちの知恵の集まりであり、京都人の価値観の表現でもあります。

「おばんざい」は単に出来上がった毎日の「たべもの」だけを意味するものではありません。むしろ、「おばんざい」を形作る精神と「おばんざい」を構成する具体的な様々な知恵を基に、調理され食べられている食の形式を意味します。京都に生まれた一つの食様式が「おばんざい」だといえるわけです。

さらに「おばんざい」という食様式を基にした暮らし方、生活の仕方は、人々の「生き方」にも影響を与えます。従って社会や地域或いは家庭での「おばんざい」の普及は一つの教育活動であるともいえます。そこで「おばんざい」の普及活動を「おばんざい教育」とよびます。

「おばんざい」とその精神を礎とした「おばんざいな生活」は古い食様式と生活スタイルなのかもしれません。しかし見方を変えれば、「おばんざい」は今後の食生活の規範となるものであり、「おばんざいな生活」は日本人の目指すべき理想的なライフスタイルなのではないでしょうか?

私達はおばんざいの伝統を継承し、普及し、発展させていく為に、おばんざい伝承師制度を創設いたしました。
これまで京都大学大学院、小田研究室の皆様を初め多くの学識経験者の皆様にご教授いただきました。又この制度を支え発展させていくためのおばんざい伝承師協会設立についても京都府内の多くの企業、団体様からのご支援をいただくことになっております。

今後皆様のご指導を賜りながら、日本の食と食文化の発展に寄与して参るつもりでございますので、ご指導、ご協力のほど、よろしくお願い申し上げます。

『おばんざい』とおばんざい伝承師

おばんざいとは

おばんざいとは、京都の人々が工夫し育て、伝えてきた家庭での食生活における食のあり方とこれを基に調理された食べ物をいう。

おばんざいは、単に調理された食べ物だけを意味するものではない。調理された食べ物を表現する言葉としては、「おかず」、「そうざい」、「おぞよ」、「おまわり」等々多種多様に存在するが、おばんざいは、食材の使い方、調理の仕方、食べ方を中心とした一つの食の様式であり、毎日の食のあり方をも含む概念である。単に調理された食べ物をだけを表現する言葉ではない。この食のあり方は、生活の根底にあるおばんざいの精神によって規定され、そこから生まれた様々な知恵によって形作られる。
おばんざい、この食のあり方は、食生活のスタイルを規定するだけではなく、生活の仕方、暮らし方、生き方にまで影響を与えるものとなっている。この事からおばんざいは京都に生まれた一つの文化であるともいえる。

おばんざいの構成要素

おばんざいは、京都庶民の食のあり方とそこから生まれた食べ物であり、食のあり方を形作るものは、おばんざいの精神とそこから生まれた様々な知恵の二つである。おばんざいの根底にある精神的な要素は、下記の五つである。

ほんまもん
食材や調味料、道具、用具なんでも本物を選ぶ。本物を見出す過程で、様々なものについて見聞し、体験し、目利きする力をつけ、おばんざいの中に生かしていく。本物が持つ味や味わい、その風景をよく知っている。道具類、用具類などは、本物(良いもの)のほうが結局長い期間使用できて、結果的に得になる事を知っている。
あんばい
本物を選び利用することを最も重要視するが、単に頑固にその姿勢を貫くだけではない。時として納得さえすればそれぞれの関係を考慮し、あんばいを取りながら柔軟に対応する姿勢も合わせ持つ。あんばいは、個々それぞれの知恵と体験を基にした判断基準によってなされることから多くの自分流が生まれる。各家庭におけるおばんざいはその分、多様な味、スタイルがあり、個性的でおふくろの味として存在している。また、あんばいの判断基準の裏付けとしての知恵と体験のために、多くの出会いを求めることにもなる。しかしあんばいは、時により難しい判断をせねばならない場合もある。そこで有効なのが「しきたり」である。「しきたり」を守ることは社会的な摩擦を防ぐことともなり場合によってはあんばいよりも優先される。
であいもん
食材と食材の出合い、季節と食材との出合いを、調理法や食べ方に上手に取り込む知恵と工夫。
これには人と季節(自然)との出会い、人と人との出会いを大切にしていく事も含まれ、出会いを大切にしながら、自然や地域社会との共生を図り生活していく動き(暮らし方など)や心を意味する。
もてなし
出会いを大切にする心は、相手を思いやる心として、気の日にあっては家族に対し、晴れの日にあっては来客に対しても向けられる。おばんざいを共にする家族や客の状況を踏まえ、最良の選択をする思いやりの心と、より美味しく、より楽しむ為の工夫を怠らないこと、そして何より家族や共食する人たちの健康を願う心を基に調理を行うこと、これらはすべてもてなしを意味する。さらに物へのもてなしもある。物へのもてなしは、大切に使用することでありしまつにつながる。
しまつ
物の節約、時間の節約、お金の節約という意味が中心を成し、徹底した合理主義というべきものである。しかし、出合いもんを楽しみ、ほんまもんを使う誇りもあって、人々に悲壮感はない。
これには毎日の生活を楽しみながら、様々な事柄において不要なものは排除し、利用できるものは可能な限り有効に利用するという意志の表れであり「もったいない」という言葉で置き換えることもできる。

これらの五つの構成要素は、それぞれに京都の庶民の生活の中に生まれた一つの価値観の表れであり、こだわりというべきものである。
さらにこれら五つのこだわりが一体化した、おばんざいの精神ともいうべきものが存在し、その精神から生まれた食のあり方や食べ物がおばんざいと言う事になる。

おばんざいの知恵

おばんざいの精神の基で、おばんざいが調理され、食べられていくことになるが、調理から食べられるまでの行程の中には、歴史の中で見いだされた多くの知恵が存在する。これらの知恵は、おばんざいが作られる際の具体的な基準や作り方、食べ方などを示し、五つの部分に集約されて存在している。それは

  • 1.献立
  • 2.調理
  • 3.味
  • 4.色
  • 5.料理

である。

おばんざい(食べ物として)の決まり

 

  • 1.使用する食材の概ね50%以上が地元産であること
  • 2.使用する食材の概ね50%以上についてその由来がわかること
  • 3.調理過程の概ね50%以上について特定の同一人が関与すること
  • 4.調理過程の概ね50%以上について同一の場所にて行われること
  • 5.食材や料理に旬が見えること
  • 6.歴史性、文化性が見えると望ましい。
地元産とは京都府にて生産又は加工されるものをいう。
食材の概ね50%とは
重量又は容積などにて判断をおこなう。
料理として完成した時点で判断。
由来とは、生鮮食材については、生産者及び産地、その他の場合は産地をいう。
調理過程の概ね50%とは
調理過程、全ての調理時間の概ね50%
特定の同一人
調理する人の名前がわかること
同一の場所
一つ屋根の下であればよい
旬が見える
旬の食材を利用している
調理法等に季節が感じられる
盛り付けやあしらいなどに季節が感じられる
しつらいのなどに季節が感じられる。
歴史性が見えるとは
食べ物や食べ方が歴史的な事実として文書や慣習の中に残っていること
文化性が見えるとは
地域に存在する様々な文化的なもの(暮らし方や行事等)と共に存在する食べ物や食べ方であること

おばんざいの伝承師とは

おばんざいの精神と知恵を伝承し、その価値と魅力を広める人

 おばんざいは、食材の使い方、調理の仕方、食べ方を中心とした一つの食の様式であり、毎日の食のあり方をも含む概念である。これらの食様式や食のあり方は、京都人の考え方、暮らし方などの中に存在する五つのこだわり、であいもん、もてなし、ほんまもん、あんばい、しまつによって規定される。この五つのこだわりが正におばんざいの精神を構成することとなる。おばんざいの精神を伝承するとは、日々の生活において五つのこだわりを基に調理していく、食べていく、暮らしていくことを意味するものである。
 おばんざいの精神から育まれた食のあり方は、長い歴史の中で多くの食の知恵を生み出しきた。これら食の知恵は、献立、調理の仕方、料理の仕方、味、色などに、形式や慣習として具体的に残っており、それらが伝統を形作っている。おばんざいの伝統を継承する事は、形式や慣習をただ知識として残していくことではなく、これらの知恵を毎日の生活にとりこみ、生かしながら伝え残すことである。
 おばんざいの精神や知恵は長い歴史の中で培われて来たものであるが、現代にも通じる大きな価値と様々な魅力がそこにはある。食に関わる様々な問題を抱える現代社会の中にあって、おばんざいの普及はそれらの解決をうながす一つの力ともなるであろう。
従っておばんざい伝承師とは、おばんざいの精神と知恵を伝承する人であり、食に関わる様々な問題の解決に寄与する為に、おばんざいの価値や魅力を伝え広めていく人ということになる。
 さらにこの二つの役割を通して「おばんざい」という文化を普及させ発展させていくことも社会的な使命となる。

おばんざいの伝承師の役割

  • おばんざいの精神と知恵を伝承していくこと
  • おばんざいの価値や魅力を広めることによって社会に寄与すること
  • おばんざい文化の普及と発展に寄与すること

おばんざい伝承師になるために

詳しくは認定校にお問合せ下さい。

賛同者の募集

『おばんざい伝承師制度』 創設発起人の募集について

前述の様に、おばんざいは単に京都の食文化としての位置づけのみならず今後の日本の食生活の規範ともなるべきものです。しかし、その『おばんざい文化』を伝承する方々の急激な減少が起きつつあり、急ぎ対策を立てねばならない状況下にあると考えております。
おばんざいは具体的には、日々の食事であり「おふくろの味」ともいうべきものである事から、より多くの方々によって生活の中で受け継がれることが重要であります。
従って、おばんざい伝承師制度は単にその認定をするばかりでなく、その育成と活動の支援をも含む形で制度化される必要があります。
おばんざいの重要性と意義を考えるとき、より多くの方々の意見を拝聴し賛同や支持を得た上で『おばんざい伝承師制度』発足していきたいと考えております事から、発起人として私どもと共にご検討頂ける皆様を募集致したいと考えております。尚、発足は2012年4月を目安としております。

同、支援団体の募集について

おばんざいは、食文化であり、食の生活スタイルである事からおばんざい伝承師に
必要とされる知恵や技術は巾広くならざるを得ません。さらにおばんざい伝承師の育成と活動支援を考慮すると、必要とされる知識、情報、技術等多岐に渡る事となります。従ってこのおばんざい伝承師制度は、京都に息づく様々な機関、企業、団体のご協力、ご支援なくして成り立たないと考えております。
そこで『おばんざい伝承師制度』にご理解を頂き、ご協力を頂ける学術機関、行政機関、各種組合団体、企業等々の募集を致したいと考えております。

支援団体

おばんざい伝承師制度へのご理解を頂き、情報等の提供を行い、伝承師の活動支援を
行う団体等をいう。

支援者(サポーター)

おばんざい伝承師制度への理解とおばんざい伝承師の活動を支援する個人をいう。

お問い合わせは下記までご連絡ください。

認定校
食育キッチン イシグロ
京都市伏見区納屋町131
電話/075‐601‐0039
FAX/075-601-0552
e-mail/info@shokuiku-kitchen.com
http://www.shokuiku-kitchen.com/